オスグッドの原因と予防方法

2025年05月20日 17:07
カテゴリ: 施術日誌

私は普段、中学生の野球チームでコーチを務めているのですが、成長期特有の膝の痛みである『オスグッド(オスグッド・シュラッター病)』に悩む選手が毎年数名います。

スポーツ障害の一種ですが、放置しておくと膝の変形にも繋がってしまうので、野球をしているか否かに関わらず、成長期のお子さんを持つ親御さんにはぜひ知っておいて頂きたい内容となっています!

オスグッドの原因は?

膝のお皿の下にある脛骨粗面(けいこつそめん)という部分は、太ももの前側にある「大腿四頭筋」という筋肉の付着部でもあります。

大腿四頭筋に引っ張られることにより、脛骨粗面が突出してしまう事により、痛みや炎症を引き起こします。

オスグッドの原因はいくつか複合的に考えられますが、主な原因は以下の通りです。

◾️骨の脆弱性(ぜいじゃくせい)と筋肉の発達のアンバランス

子どもの骨は成長途中のため、『骨端軟骨』や『成長軟骨』と呼ばれる柔らかい部分が多く存在しますが、先述した脛骨粗面にも成長軟骨があり、大腿四頭筋に引っ張られることで、突出してしまいます。

また成長期には、骨が急激に伸びる一方で、筋肉や腱の成長が追いつかないことがあります。骨の成長に対して筋肉の成長が追いつかない為、(筋肉の長さが足りず)常に大腿四頭筋に牽引ストレスがかかってしまいます。

◾️強度の高いトレーニングを繰り返し行う

膝の曲げ伸ばしやジャンプ、ダッシュ、キック、急激な方向転換などの動作を繰り返すことで、硬くなった大腿四頭筋が脛骨粗面の成長軟骨を繰り返し強く引っ張り、その部分に微細な損傷や炎症を起こします。ひどい場合は、骨の一部が剥がれてしまうこともあります。

運動量が多すぎたり、適切な休息を取らなかったりすることで、膝への負担が蓄積し、オスグッド病の発症リスクが高まります。

◾️負荷が膝に集中してしまう

大腿四頭筋の柔軟性不足や、股関節・足関節の可動域不足、体幹の機能不全等により、膝にかかる負荷は増大します。

また、たとえばしゃがみ込み動作の際に股関節よりも膝を優位に屈曲させるなどの不適切な運動フォームだと、膝にかかる負担が大きくなってしまいます。

オスグッドの治療方法や期間は?

オスグッド病の治療は、基本的には手術をしない「保存的治療」が中心となります。
成長期が終わると自然に治ることが多いですが、適切なケアで痛みを和らげ、悪化を防ぐことが重要です。

痛みが強い時期は、スポーツ活動を一時的に休止するか、量を大幅に減らすなど、まずは患部を安静にすることを心がけ、腫れや熱感を伴う場合には、湿布やアイシングも効果的です。
アイシングのやり方は、氷を入れたビニール袋に少量の水を加えて、10~20分程度冷やします。

また、大腿四頭筋やハムストリングス、ふくらはぎや足裏のマッサージも有効ですが、炎症が強い時期は闇雲に刺激を加えず安静にすることをおすすめします。

◾️期間とリハビリ

回復までの期間は重症度や個人差もありますが、軽症の場合(膝関節に炎症がある、または押して痛い程度)は1〜2週間程度、中等症〜重症の場合(安静時も痛い、歩行時にも痛みがある)は最低でも3週間程度の安静が必要となることが多いようです。

安静期のリハビリ

患部は安静に保ちつつ、上半身のトレーニングや、股関節・足関節の柔軟を取り入れると良いでしょう。

回復期のリハビリ

痛みが治まり、ある程度動けるようになったら競技復帰に向けて段階的に負荷を上げていきます。
関節運動を伴わないトレーニングから始め、徐々に荷重をかけ、関節運動を伴うトレーニングに移行します。

運動時にはサポーターやオスグッドバンドなどの装具を使用すると良いでしょう。

オスグッドの予防方法は?

ストレッチ

オスグッドの直接的な原因は大腿四頭筋に引っ張られることなので、大腿四頭筋のストレッチはもちろん、股関節や足関節の可動域も関わっている為、臀部、ハムストリングス、内転筋、ふくらはぎ等も十分にストレッチをしましょう。

正しい動作の習得

先述した、しゃがみ込み動作の際に膝がつま先よりも前に出過ぎてしまったり、膝が内側に入り過ぎてしまうと、膝にかかる負担が大きくなると言われています。

他にもさまざまな動作がありますが、正しいフォームを習得することにより、膝にかかる負担を軽減することができます。

適度な休息

筋肉が疲労した状態だと伸長性が損なわれ、オスグッドになるリスクが高まります。
食事・睡眠を基本に、適切なリカバリーを心がけましょう。

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